隠岐の島・海士町に行く途中、知人がいるので寄った大山町。
大山には一度登ったことがありますが、町自体は全く見れなかったので楽しみに向かいました。
大山町とは?
出典:鳥取大山観光ガイド
人口・面積
大山町のHPにて、人口や面積についてです。
- 人口(2019年1月):16,328人(5,730世帯)
- 出生数(2017年度):96人
- 面積:189.83㎢
- 人口密度:86人/㎢
出生数が年間で100人というのは驚きました。
歴史
大山(だいせん)の名前が初めて文献で書かれたのは、奈良時代に編さんされた「出雲国風土記(いずものくにふどき)」。
国引き神話とも密接な関係があり、八束水臣津野命(やつかみずおみづぬのみこと)が引っ張った綱をつなぎとめた杭が「三瓶山(さんべさん)」と「大山」だと伝えられています。
かつては栄華を誇った時代があって、鎌倉時代から室町時代に「大山寺」では3000人の僧兵を抱えたとされています。
この時代では高野山金剛峯寺や比叡山延暦寺とならぶ大寺で、その勢力が強大になればなるほど地域も栄えていきました。
出雲国風土記とは
733年に完成した、ほぼ完本の形で今に伝わる唯一の「風土記」とされています。
編さんには出雲の郡司が大きく関わっていて、日本古代の地方行政や交通を知るのに重要な史料となっています。
産業構造
RESASにて、2016年度の大山町の数字についてです。
売上高(総額:35,032百万円)
- 建設業-総合工事業:5,129百万円
- 製造業-食料製造業:3,505百万円
- 製造業-金属製品製造業:2,525百万円
- 卸売業、小売業-その他の小売業:1,474百万円
- 医療、福祉-医療業:1,060百万円
付加価値額(総額:10,866百万円)
- 建設業-総合工事業:1,114百万円
- 製造業-金属製品製造業:608百万円
- 製造業-食料製造業:594百万円
- 医療、福祉-医療業:592百万円
- 卸売業、小売業-その他の小売業:338百万円
特徴的なのは、「製造業」の内訳をみると「食料品製造業」と「金属製品製造業」で占められていて、全国と鳥取県全域に比べても割合が大きいです。
主な農畜産品
水稲のほか、ブロッコリー・白ねぎ・スイカ・メロン・二十世紀梨・ゴールド二十世紀梨・りんご・日本茶・紅茶・畜産品・芝・種苗類・葉タバコ・生乳・ブロイラー・豚ほか、最近ではブルーベリーなども観光農園として好評です。
また日本海に面した地域では漁業も盛んで、沿岸漁業によりサザエ・ヒラメ・ハマチ・タイ・アジなどのほか、ウニ・板ワカメは特産品としても有名です。
主な観光スポット
国立公園大山が中心となっており、大山寺や大神山神社などの神社仏閣や名所旧跡、またスキー場や登山道・散策コースなど多様な観光資源があります。
大山町の魅力とは?
大いなる神の在ます山「だいせんさん」
大山町に住む知人と会い、車で「大山」と「大山寺」を案内してもらいました。
大山の中腹にある「大山寺」で祀られている地蔵菩薩は、山頂の池から現れたとされ、水を恵み、現世の苦しみから万物を救うと信じられていたそうです。
そのような「地蔵信仰」をもつ大山寺では、たくさんのお地蔵様が見られるわけですが、あいにくの雪で少しだけ。
また大山では「地蔵信仰」のほかに、「牛馬信仰」というものが平安時代に広まりました。
大山寺の高僧基好上人(きこうしょうにん)が牛馬安全を祈願する守り札を配り、中腹に広がる牧野で牛馬の放牧を奨励したことから始まり、鎌倉時代以降では牛馬の交換や売買が盛んに行われて「牛馬市」となったそうです。
「ここまで運んでくるのは大変だね」と、知人と話していました。
大山から出発するとき、知人の言葉が印象的でした。
「なんだか不思議だけど、大山に守られている気がするんだよね」
何年か前に鳥取県で地震があった時も、最近の台風にしても、この地域では大きな被害はなかったようです。
それも全て、大山が守ってくれたように感じるとのことでした。
一方で雨や雷の強い日もあって、そんなときは畏敬の念も持たずにはいられないとも。
2018年に開山1300年を迎えた大山。
今でも、住む人にとっては「大いなる神の在ます山」でした。
山の神からの贈り物「天の真名井」
大山に行く前に、寄ってきたところがもう一つ。
環境庁が選定する「名水百選」にも選ばれ、生活用水、農業用水、ニジマス養殖など、地域の人の生活に欠かせない資源である「天の真名井(あめのまない)」。
(米子市淀江町なので、大山町ではありませんが…)
こんこんと湧き出す「天の真名井」はきれいさだけでなく、驚くのは1日に約2500トンもの豊かな水量です。
飲み水を汲む用の場所もあります。
水を汲もうとしたところ、ちょうど車で同じように水を汲みにきた人がいました。
「こんにちは」とあいさつをしたら、車から出てきた水を入れるタンクの数に驚き。
なんでも「天の真名井」の水じゃないとだめで、1週間に1回は汲みに来ているそうです。
この水で作るコーヒーが格別とか。
どれ私も、一口。
「美味しい!」
看板には、「夏は冷たく、冬は暖かく、実に味わい深い天然水です。」…いいね!
ちなみに「天の真名井」の恩恵をうける米子市は、厚生労働省の「おいしい水研究会」で全国32市の一つに選ばれ、水道水はおいしいと評価されているようです。
人の暮らしが変わっていく中でも、昔から変わらずに湧き出ていた「だいせんさん」からの贈り物。
昔の人も私と同じ水を口にしていたのだと思うと、なんだかロマンを感じてしまいます。
もっと大山町のことを知りたい方は、下記の動画をご覧ください。
ぜひ足を運んで、あなただけのおすすめを見つけてください!
さいごに
「だいせんさん」から恵みを受けて、栄えた大山町。
足を運べば、おのずと自然への畏敬の念が芽生え、やはり人も自然の一部だと思わずにはいられません。
「大山があるから、この地に住もうと決めた」
聞いたときは驚いたその言葉が、帰る頃にはわかるようになっていた大山の旅。
もう一度行きたいところが、また増えました。