高知県四万十での仕事を終え、次の現場を探し始めたところ、ありましたよパイン農家。
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西表島…時給800円…と、色々と頭をよぎりましたが「大切なのは経験!」と電話をして、なんとか働けることになりました。
パイン農家での40日間の日々を、かなーり短縮してお伝えします。
パイン農家って何してるの?
「基本的に事務で、もしかしたら飲食店のホールもしてもらうかも。」
電話面接でのやり取りでは詳しいことはわからず、一体どんな仕事をするんだろうと内心ドキドキ。
それで実際にした仕事はというと…
- 収穫
- 選別
- 梱包
- 苗植え
- 飲食店のホール
- ジュース作り
まあ、こんなところです。
…全然、事務してない!
収穫
畑に行って食べ頃のパインを見分け、手で「ポキッ」ととるのを延々と繰り返す仕事です。
かくいう私は2日間しかしませんでしたが、これが痛いのなんの。
パインって苗が強くて、長袖長ズボンで畑に入っても、気づけば手足に切り傷ができるんです。
オロナイン軟膏、ありがとう!
選別
畑で収穫されたパインにエアーと呼ばれる機械でカイガラムシを取り、重さを測って箱に入れる仕事です。
言葉にすると何だか楽そうなのですが、どっこい結構キツイです。
というのもパインは割と重くて、1つで500g〜2kg。時には3kg超えも!
それらを12〜16個の箱に入れると1箱で10〜20kgになり、持ち上げたり移動したりするのは大変。
あとパインを片手で持つのも、地味に疲れます。
梱包
前日に選別したパインを注文伝票にしたがって箱詰めをし直し、トラックに入れて港に運ぶ仕事です。
パイン農家バイト員の朝は梱包から始まり、港に積み込んだところで仕事の半分が終わったといえるでしょう。
ジュース作り
パインを選別していると、加工品(=なんらかの理由で商品としては出せないけど美味しい)が結構でてしまうのです。
はじいた理由は傷が付いていたり、汁が漏れていたりと様々です。
そんなパインたちを切って、ミキサーにかけるのが「ジュース作り」。
初めて作るときに教えてくれる人から、「パインは酸味が強くて手袋しないと指紋がなくなるよ」と言われて焦ったのを覚えています。
屋内でも暑いのでどの仕事も朝をたくさんかくのですが、体重計がないので痩せたかどうかがわからないというモヤッとした生活を送っていました。
ひと昔前までは無農薬栽培が当たり前だった
(由布島の水牛さん)
代表者からよく「無農薬」という言葉を聞いていました。
私は西表島を訪れる前に農業の研修にいくつか参加していて、そこの先生が「無農薬だと非効率過ぎるから、適度な使用が大切」と話されていたので少し懐疑的だったのが正直なところです。
しかし40日間の中で美しい海や生い茂った森などの豊かな自然を見たり、本州では見たことのない生き物に触れたりして少しずつ考えが変わってきました。
たしかに無農薬で食べ物を育てるということは、バナナを育てるハウスはワイルド過ぎて入りたくないし、たくさん虫がついて選別には時間がかかるしで疑問に思うこともあります。
一方で自然を敬い大切にする西表島の人だからこそ、非効率さを受け入れてでも無農薬で育てていきたいという気持ちがあるのだと感じました。
全部が全部、無農薬だといって育てていれば、草むしりなど大変な作業が増えて農家がさらにしんどくなるし、量は少なくなり価格も高騰すると良い循環を生まないかもしれません。
ただパインなどの嗜好品でなら無農薬で栽培した食べ物を通して、自分の健康や自然との共生を考える機会になればいいのに、とこっそり思っています。
さいごに
日差しはきついし、空気は熱いし、パイン箱は重いしで、結構しんどかったんじゃないかなと思うのですが、その分だけ食べたので結局のところ体重は変動なし。
見た目は変わっていませんが、中身は変わっていてほしいと願うばかりです。
西表島での生活を思い出してふと浮かぶのは、「自然との共生」と「生活力」という言葉。
ほしいと思えばクリック一つで手に入る時代で、西表島に住めば不便と感じることが多々ありました。
便利な世の中に生まれたことを再認識しつつ、自分は何もないところで生きていけるだろうか。
祖先から伝え継がれた知恵を持って自然と共生する島民を姿を見ながら、私はそんなことを思っていたのです。